まいけるの独り言 (マニアックな独り言)


機動戦士ガンダムF-91

筆者からの紹介

印象に残った台詞

モビルスーツ F-91ガンダム

主人公 シーブック・アノー

筆者からの紹介
 富野監督が「新世代ガンダム第1章」の名目で世に送り出した作品。の割りには、第2章が製作される事無く単発で終わった作品。劇場公開当時はたいしてヒットしなかったが、ビデオ化されたら飛ぶように売れた。何とも謎の多い作品である。ちなみに、主題歌はZガンダム同様に森口博子が担当。この曲で彼女は紅白の舞台にも立った。凄い!

 この作品のモビルスーツ、従来の20メートル程度から15メートル程度に小型化されている。また、ビームシールドといった新しいものが登場した。敵側のモビルスーツは当時の湾岸戦争で使用されたガスマスクを土台としてデザインされた。
 富野監督の構想を2時間程度の作品で表現するには無理があったようで、ファンの間からもこの作品はあまり高く評価されていない。




印象に残った台詞
「化物かっ!」F91ガンダムの残像を見て鉄仮面が言った台詞。化物はあんただろっ!



モビルスーツ F-91ガンダム
 UC0123年、海軍戦略研究所SNRI(サナリィ)が「F(フォーミュラ)計画」の元開発した新鋭モビルスーツ。新世代の規格に対応し、サイズが一回り小さい15mクラスになっている。ガンダムのトレードマークの1つ「胸の黄色いスリット」を廃し、バイクの冷却器のような層状ユニット(エアダクト?)を代わりに据えたそのデザインは登場当初大きな(大部分否定的な)反響を呼んだ。

 グリプス戦争以来大火力、多機能、巨大化という末端肥大的進化の道を辿るMSに転機をもたらすべく、新世代MSの開発を決定した連邦軍は、アナハイム(その数十年に渡るMS業界の独占は兼ねてから問題視されていた)でなくSNRIにその開発を発注した。そこでまず完成したのがハードポイント・システムにより26のバリエーションを持つ新型ガンダム「F90」であり、このF90のバリエーションの1つ、F90V(ヴェスバー・タイプ)のコンセプトを受け継いだ機体がF91である(さらに厳密にはサナリィが最初に提出した試作「F9」という機体が存在し、それを評価試験用実験機として改修したものがF90であるらしい)。

 開発に際して当時の技術者達は、平時における「普通の高性能」に飽きたらず「現時点でのMSの限界性能を達成する」という燃える構想で当たったと云われる。事実、パイロットのバイオリズムに同調しサイコミュの性能を拡大するバイオコンピュータ、大火力の新兵器ヴェスバー、この時点では連邦唯一のビームシールド、それらを併用するための高出力ジェネレータなど高技術・新技術がこれでもかとばかり詰め込まれた結果、映画『F91』の時点では連邦・クロスボーン両陣営のどのモビルスーツよりも高い潜在能力を持ち、「かつてニュータイプと呼ばれたような能力を持ったパイロットでなければ本来のポテンシャルを引き出すことは出来ないであろう、超高性能の機体」とまで言わしめていた。その「本来のポテンシャル」を発揮した状態では放熱のため両肩のフィンが展開、ならびに口部ダクトが全面開放され「口」が露出。また、機体の温度上昇に伴い全身の重金属塗料が剥離を起こし、これが移動の際残像に似たものを残す。単なる残像でなく微量ながら質量を持つため、レーダーやサイコミュでも識別しにくい。世に言うところの「質量のある分身」である。

 特徴的な武装としては肩口に装備されたメガマシンキャノンの他、背部にマウントされた「V.S.B.R(ヴェスバー)」と呼ばれる大口径ビーム砲が挙げられる。これはVariable Speed Beam Rifleの頭文字を取ったもので、要するに可動式(Variable)で、(常に手に構えていなくても)迅速に射撃可能な(Speed)ビームライフルのことである。その威力はクロスボーンのMSをビームシールドごと貫き、シーブックに「こいつは強力すぎる…」と呟かせたほど。しかしながらこの「ヴェスバー」というのが設定上だけの名称で、本編中一度も登場していない(実際に口に出してみると分かるがこの名前、結構言い難い上に締まらない。台詞に出なかったのもそれが理由らしい)ため今一印象が薄い。事実スーパーロボット大戦シリーズではこのヴェスバーの評価が二転三転するため(無理からぬことではあるが)、F91自体も異様に強かったり大したことがなかったりする。なおヴェスバーとは別に通常のビームライフルも別にある。また従来のガンダムと違い、ビームサーベルは左腰に装備されている。

 映画では、電装系が未完成で練習艦スペースアークに死蔵されていたのを、シーブックの妹リィズのおかげでバイオコンピュータの接続に成功。パイロットの人員が不足していたため、開発者の一人アノー博士の息子であるシーブックが「バイオコンピュータ搭載だから、制作者の肉親が一番だ」などというとんでもない理由から搭乗すると、その高性能をいかんなく発揮。フロンティアIのCV軍を撃退し、戦艦ザムス・ガルを撃沈、さらに鉄仮面のラフレシアに対しては上述の潜在性能を発動させ、無数に襲い来るテンタクラーロッドをものともしない怪物的な機動性を見せた。ラストでは中破しながらも、バイオコンピュータにレーダーを繋いで宇宙に放り出されたセシリーを探す、という荒技もやっていた。

 ちなみに、F90が軍の依頼により公式に「ガンダム」として開発されたため、F91も正統のガンダムなのであるが、映画本編では「昔こんな顔のMSがあったね」「ああ、ガンダムって言ったわねえ」などと偶然付けられてしまう。また正式には「フォーミュラ・ナインティワン」と読む(本来F91が「F9シリーズの1号機」という意味であるとすればもっと厳密には「フォーミュラ・ナイン・ワン」かも知れない)のだが皆「エフきゅうじゅういち」と呼ぶなど、そこはかとなく扱いが不遇。

 半オフィシャルの後伝『機動戦士クロスボーン・ガンダム』では連邦軍に正式採用され、ほぼオリジナルそのままの仕様で量産、配備されている。30年間ジェガンを使い続けてようやく新世代機開発に乗り出した腰の重い連邦軍が、その後たった10年でかくも速やかな主力入れ替えを行った所からも、この機体の図抜けて高い基礎性能が知れるだろう。きっと『V』に登場するジャベリンやジェムズガンの直前くらいまで現役だったに違いない。


主人公 シーブック・アノー
 『機動戦士ガンダムF91』の主人公。フロンティアIVのフロンティア総合学園工学学科に通う17歳の学生である。かつては金属工学の第1人者であり今は港湾建設作業員をしている父レズリーと、妹のリィズとの三人暮らし。母モニカはバイオコンピュータの研究者であり、現在は別居中。フロンティア総合学園のアイドル、セシリー・フェアチャイルドと幼なじみでありながら友人以上の関係でないという学園ドラマな環境にいた。

 学園祭でのミスコンテストの最中にクロスボーン・バンガードの襲撃を受け、友人達と共にスペースボートで避難。隣のコロニー・フロンティアIに流れ着き、そこで出会った宇宙練習艦スペースアークのクルーとしてクロスボーン軍と戦わされるはめになる。未完成のまま搭載されていた新型MSF-91のコンピュータシステムの設計者が母親であると分かると「親子なんだからバイオコンピュータの相性がいい筈だ」という無茶な理由でパイロットにされてしまったが、そこはアムロ以来のガンダム乗りの伝統、工学学科で身につけた知識とニュータイプの潜在能力(そして実際に良かった相性)でなんとか乗りこなし、初戦を白星で飾った。

 このことによって増長したか、彼は脱出の際クロスボーン軍に連れて行かれたセシリーにもう1度会おうと、今はコスモ・バビロニアと改名されたフロンティアIVに単身潜入。会うことは会えたのだが連れ戻すのには失敗し、その後の脱出の際には助けに来てくれた父親までも死なせてしまう。二重のショックで打ちのめされたシーブックだが、後にセシリーと戦場で再会した際には無事説得して連れ戻すことに成功、安堵と後悔で嗚咽するセシリーに、
「いいんだよ、セシリーはここにいてもいいんだ…」
と肩を抱いてやる。スペースアークにやって来た母モニカが「息子が兵器に乗って人殺しをするなんて」と嘆いた時にも、
「僕やセシリーがなんでモビルスーツを扱えるようになったか、そんなことは戦争が終わってから考えましょうよ。ニュータイプって人類の革新。戦争など越えられるって説もありますよね?」と、それまで感情的しこりを抱いていた母に対し逆に諭して和解するなど大きな成長ぶりを見せた。

 無事幼なじみを取り戻したシーブックは無差別粛正兵器バグとその元凶である鉄仮面を沈めるため、セシリーと共に出撃。セシリーのビギナ・ギナが大破すると気力が上昇して…もといニュータイプの感応力が高まって機体のリミッターを超え、分身能力を発動させる。見事ラフレシアを沈めた後、ビギナ・ギナから放り出されたセシリーを、F-91のバイオシステムにより増幅された生命の感応力と百合の花とを手がかりに探し出した。宇宙空間に二人が抱き合いながらゆっくりと回転している情景で、映画『F-91』は幕を閉じる。

 親がガンダム関係者、成り行きでガンダムに乗り込み、ヒロインとは敵味方…などガンダムパイロットとしての基本パターンは踏襲していたが、他の連中に比べて大分地味な印象のある優等生タイプのキャラクターだった。しかしフロンティアIVから避難する際の的確な手際や、父親の死後も特に塞ぎ込むこともなく(描かれなかっただけかも知れないが)F-91に乗り続けていたことなどを見れば、単なる優等生ではないタフで現実的な神経も持ち合わせていることが分かる。歴代ガンダムパイロットの中でも最も健全な育ち方をした人間であることは、父レズリー=アノーの臨終の際の科白にもよく現れている。
レズリー「私は、お前とリィズをちゃんと育てた…ちゃんと育てたよ…!」

 こんなことを言って死ねた父親はガンダム世界で空前にして、今の所絶後である。母との会話にも見られるように、自分がニュータイプであることを至極さらりと受け止めて、その力に翻弄されることなく希望と信念を持って戦う姿はニュータイプの新境地を開いたと言えるかも知れない。そのニュータイプ能力に関しても「Z」「ZZ」の両作品で暴走した嫌いのあるニュータイプ像(超常の力と破綻した人格)を引き戻す目的を兼ねて「普通よりちょっと勘のいい」という程度の控え目な描写に押さえられている。しかし逆にそれが余計に過去の主人公達と比べて地味な印象を与えてしまったことは否めず、主演作が映画1本だけだったこともあって今一つ存在感の薄い可哀想なキャラクターでもあった。

 『F91』の後日談『クロスボーン・ガンダム』によれば、鉄仮面との戦いの後、コスモ・バビロニア打倒を目指すセシリーを助け、後にバビロニア建国戦争と呼ばれる戦乱をF-91で戦い抜いたらしい。さらにその後にはベラ・ロナと共に木星帝国と戦うため自分の名を封印、キンケドゥ・ナウと名乗りクロスボーンガンダム1号機で戦うことになる。ここに至ってそれまで地味だった分を取り戻すかのごとく鬼のようにパワーアップ、サーベルでヴェスバーを受け止めるわビームシールドで大気圏に突入するわ、人間離れしてきたなーと思ったらとうとう半身サイボーグ化という荒業を見せた。性格も随分ワイルドになっていたようだが、一体長い戦乱の間に何があったのだろうか???


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