まいけるの独り言 (マニアックな独り言)



機動戦士ガンダムUC



筆者からの紹介

 純粋に宇宙世紀を舞台としていること、それまで語られることのなかった宇宙世紀の始まりを描いていること、宇宙世紀の歴史を踏み外すことなく時代描写していること、良い意味で妙なオリジナリティーが無いこと。理由は色々とあるんだろうけど、ガンダムシリーズに於いては極めて珍しい「初代ファンからも高く評価されている」或いは「初代ファンによるアレルギー反応が少ない」作品。

 アニメ作品としては まず劇場公開され、それがDVD/BDとして発売され、それがテレビ放送されるという流れ。昔ならテレビ→DVD発売→劇場版という流れだったんだけど、これも時の変遷故、だべか。

 時代は「逆襲のシャア」から3年後ということになっているが、その「逆襲のシャア」の続編というよりは「ZZの続編」という色合いが濃く出ている。何かと黒歴史扱いされたり、劇場版Zに到っては「無かったことにされた」という扱いを受けたZZ。数あるガンダムシリーズにあって私が1番好きなのが このZZであるため、UCに救われたという思いが強い。これは「男のくせに乙女座」という揶揄が まかり通っていた世の中にあって、聖闘士星矢に登場する乙女座の黄金聖闘士「シャカ」の登場により、世の乙女座男子達が救われたのと同じ・・・というのが私の勝手な解釈。

 ZZの続編という色合いの濃さ。それを表す部分は随所に見られる。「ZZに登場したけど、それ以降の(テレビ・OVA等の)映像化された作品では登場していない」という人物や機体が随所で見られる。例えば本作品の主人公が乗ることになる巡洋艦ネェル・アーガマ。例えば本作のヒロインであるミネバ・ザビ。ズバリそのものではないものの、登場するジオンのモビルスーツのデザインはZZの第1次ネオジオンの流れをくんでいる。

 また、本作品に於いてはZZのファンであれば誰もが抱いていたであろう「もしも・・・だったら」の1つが実現されている。それはZZのヒロインであったエルピー・プルが成人した姿を見られる、ということ。ZZに於いて全滅したと思われていたプルのクローンシリーズが1人だけ生き残っており、彼女が成長した姿を見せてくれている。その姿に歓喜したZZファンは数知れず。

 ZZの設定に限らず、ブライトさんも皆勤賞を持続。今回は脇役という立場ではあったものの、やはり存在感は大きい。Zガンダム以来の登場となるカイ・シデンやベルトーチカ・イルマの登場もマニアには生唾ゴックンもの。

 人物のみならず、モビルスーツも古今東西の様々な機体が登場。この作品を観るだけでモビルスーツの歴史を辿れるぐらいである。

 物語としては、本人に直接の責任は無いものの、「祖先が そうだったから」という理由で歴史的呪縛を受けた3人が あれや これやと奔走する内容。・・・かなり端折った言い方だけど。劇場公開という前提で作られているだけあって、絵の描写は非常に細かく、生々しい。モビルスーツが大破する場合でも、単に「ドッカーン」ではなく、徐々に切り刻まれて刻々とパイロットに死期が近付き、遂に・・・という流れを目で追っていける描写。正直、観ていて気持ちのイイものではない。また、本編の随所に戦争の悲惨さに関する表現/台詞が散りばめられており、単なるドンパチ物とは明らかに一線を画している。



印象に残った台詞
「戦争博物館だな」
 古今東西のモビルスーツが多数登場するのが本作品の特徴の1つなんだけど、それを1言で物の見事に言い表している。



モビルスーツ リゼル 
 名称は「リファイン・ゼータ・ガンダム・エスコート・リーダー (Refine Zeta Gundam Escort Leader)」の頭文字の略称(ReZEL)である。Zガンダムの簡易量産型がリ・ガズィだったのに対し、このリゼルは「Zガンダムの簡易型」と言うよりは「リ・ガズィの改良型」という印象が強くなっている。

 リ・ガズィはバックウェポンシステム(BWS)による なんちゃって変形方式を取っていた(実際には変形していない)のに対し、リゼルは ちゃんと変形している。但しZガンダムのような複雑怪奇な変形ではなく、メタス(および その流れをくんだZII)と同じ変形方式。「変形」と言うよりは「機体を畳む」ような方式のため、重力圏での飛行を前提としておらず、また この状態で単独での大気圏突入能力は無い。

 (可変機としては)構造が簡易で故障が少ないメタス方式の可変構造を採用したこと、内装の一部はジェガンの物と共通化し、Zガンダムの枠に捕らわれない製造方式となっている。その結果、可変機としては安上がり・量産が容易・メンテナンス容易、を実現している。また、Zガンダム系統の特徴とも言える「暴れ馬のような操作性」や「パイロットを選ぶ機体」の問題に関してはリミッターの導入および新OSの導入というソフトウェア部分での対応により解消。新人パイロットでも本来の機体性能を(リミッター範囲内で)充分 引き出せるようになっている。

 本編に於いて本機体はジェガンシリーズよりは上という扱いを受けているものの、撃墜される場面も それなりに多く、リディ・マーセナスが登場する8号機以外は「うぉっ、強ぇ〜!」という印象が薄くなっている。これもガンダムシリーズに於ける量産機故の不運か!? とはいえ、リ・ガズィ好きの私としては絶対に外せない機体となっている。



名脇役(?) リディ・マーセナス
 本作に於いて主人公A・B・CのうちCに該当する・・・と描写される場合もあれば、脇役の中で上位に来る人、という描写もあり。どちらも正解のような気がするため、何とも中途半端な立場。だが、少なくとも「家系・血筋による逃れられない運命」に抗う3人のうちの1人であることは紛れもない事実。

 初代ガンダムに於けるリュウ・ホセイ、Zに於けるクワトロ・バジーナ、SEEDに於けるムウ・ラ・フラガのような、主人公にとって「頼りになるお兄さん/おじさん」的な存在。当初は。なんだけど、物語が進むにつれて段々と雲行きが怪しくなり、フォースの暗黒面に墜ちてしまう。そして決定的な事故を起こしてしまい、本作に於いてファンから1番の嫌われ役になってしまった。

 初登場時は地球連邦軍ロンド・ベル隊のMSパイロットとして。ネェル・アーガマ艦載MS部隊の1人として、インダストリアル7内の戦闘および暗礁宙域でのシナンジュ迎撃戦に出撃。シナンジュの圧倒的戦闘力の前に為す術もなく撃墜されていくMS部隊にあって、リディは被弾しつつも何とか生き残る。最終的に この時、ネェル・アーガマ艦載MS部隊で生き残ったのは彼1人である(予備パイロット達とバーナージを除く)。

 実戦経験は少ないものの、数少ない正規パイロットの生き残りということもあり、この直後に最新鋭のMSデルタプラスを与えられた。それ以降、人が変わったかのように熟練パイロットの貫禄を出すようになり、実際それなりの戦果を挙げている。

 ただ、彼にとって2つの不運が あった。1つは彼自身の家系。もともと連邦政府初代首相カルド・マーセナス(ラプラス事件で死亡)を先祖に持つ名門政治家一族の出身ということで、回りからは七光りという目で見られたり、煙たがられたりしていたのだ。が、実は彼がラプラスの箱に関して逃れられない宿命にある、ということを劇中で知ることとなり、以降は明らさまに行動が おかしくなる。

 もう1つの不幸は惚れた女が よりにもよってミネバであったということ。劇中に於いて2回 愛の告白をするも、アッサリと否決され、挙げ句には彼女をバナージに取られたと勘違い。上述した彼自身の宿命との相乗効果も加わり、リディはフォースの暗黒面に墜ちた。(いや、ミネバの あの冷たい態度にも問題ある、という情状酌量の余地は あるよ)

 物語そのものの中に於ける不幸とは種類が異なるが、原作とアニメ版における内容変更で1番貧乏くじを引かされたのも彼。原作では まだマシだったのに、アニメ版では非道い展開にされた、というものは数知れず。1番の違いと言えそうなのはマリーダ撃墜の理由ではないだろうか。原作では精神的に すっかり錯乱し、自分をフッたミネバを消すべく そこに乗り込んでいる(と彼が勝手に思いこんでいた)ネェル・アーガマを撃った。それをマリーダが体を盾にして守り、結果 彼女の機体は大破した。それに対しアニメ版では錯乱していたという点は共通しているものの、明らかにトドメの一撃はマリーダの機体を狙って放たれたもの。

 原因・経緯は どうあれ、結果的にマリーダを撃墜したという事実に変わりは無いため、全世界のマリーダのファン・・・というよりはエルピー・プルのファンを敵に回した。この前後の最終決戦に於いても、単に現場を混乱させるだけだったり、バーナージに とことん無駄弾を使わせただけだったり、フォースの暗黒面から復活しても結局は たいして活躍できなかったり。

 歴代のガンダムシリーズに於いて、主人公から見て「頼りになるお兄さん/おじさん」というのは いつも私の お気に入り。ただ、悲しいかな その多くは幸せになれないという宿命を負っている。その中に於いてリディの悲劇度合いは群を抜いている気がする。




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