まいけるの独り言 (マニアックな独り言)


新機動戦記ガンダムW

筆者からの紹介

印象に残った台詞

モビルスーツ ウイングガンダム

モビルスーツ ウイングガンダムゼロ

モビルスーツ ウイングガンダムゼロカスタム

モビルスーツ ガンダムデスサイズ

モビルスーツ ガンダムデスサイズヘルカスタム

主人公 デュオ・マクスウェル

主人公 ヒイロ・ユイ

筆者からの紹介
 最近のテレビでのガンダムシリーズはどちらかというと地味な印象が強かった。が、その中にあって「大当たり」と呼べた作品がこれである。主役5人の少年達が美形であり、女性ファンに絶大なる支持を得ていた。この作品、かつての聖闘士星矢やサムライトルーパーのような「美少年格闘もの」に相通じるものがあった。

 他にも敵役としてかつてのシャアとセイラを彷彿させるゼクスとイリーナ、それにギレン・ザビを美形にしたようなトレーズといった、「初代ガンダムとだぶるような人物を美形にした」キャラが多数出演していた点も大当たりの要因だったのかもしれない。

 人物だけでない。モビルスーツも多種多様で、それでいて夫々の個性が強烈であった。話の展開も目まぐるしく変化していく。初めの部分では君主と部下の関係だったトレーズとゼクスが、どこをどうしたのか、何時の間にか敵対関係になっているのがその例である。 この作品が他のシリーズと大きく性格を異にしている点の1つは、主役側が団体行動をとらず、常に単独行動している点である。勿論、1部で2〜3人が一時的に手を組むという例外もあったが、場合によっては主役同士が敵対する事もしばしばあった。そんな5人の主役が物語の大詰めに来て初めて「ガンダム5機揃いぶみ」を見せてくれた時、思わず身震いしたファンはかなりいたことであろう。

 また、人物の名前がこれまた安易というか、面白いというか・・・。ドイツ語やフランス語や北京語の数字をそのまま名前にしているものが多数ある。デュオ・トロワ・カトル・ウー・ゼクス・ノイン・ツバロフ・アン・トレーズ等々がそうである。

 作品の外では、声優の高山みなみがこの作品の主題歌で「TWO−MIX」として歌手デビューした事はファンの間ではあまりにも有名。私も、TWO−MIXの永野椎名君のシンセサイザーがお気に入りである。



印象に残った台詞
「任務了解」「任務終了」いずれも主人公ヒイロ・ユイのもの。今にして思えば、彼は強化人間だったのかもしれない。



モビルスーツ ウイングガンダム
 ヒイロ・ユイ操るL−1コロニー製のガンダム。オペレーション・メテオで地球に送りこまれた五体のガンダムの中で唯一変形可能であり、高速移動・離脱を得意とするため、オペレーション・メテオのようなテロ活動にはうってつけの機体であったといえる。主な武装はバスターライフルとビームサーベルであり、バスターライフルで敵を蹴散らした後、ビームサーベルで接近戦を挑むというのが基本的な攻撃パターンである。

 歴代初代乗機の中でも特に不遇の扱いを受けている。登場早々水没し、その後ヒイロに破壊されそうになる。それは免れたものの結局1クールたたずに自爆させられ、やっと直ったと思ったらヒイロには使ってもらえない。地球に置き去りにされ、帰ってきたヒイロは早々にエピオンに乗り換えてしまう。彼が最も活躍したのはレディ・アンが搭乗してトレーズを救出したときだろう。



モビルスーツ ウイングガンダムゼロ
 五体のガンダムを開発した五博士が、15年前「すべてのMSの原型」トールギスを発展させ設計した最初にして最強のガンダム。あまりにも凄まじい性能を持っていたが故に開発者自身の手で封印されていたが、人類に絶望したカトルが五博士の一人H教授から設計図を入手、15年の封印を破り自力で開発した。バスターライフル、ウィングバーニア、変形機能など、後のウィングガンダムに酷似した性格が見えるところから、恐らく主開発者はドクターJだったと思われる。地上のゲリラ戦を想定して造られた五機のガンダムと異なり、宇宙戦用として設計されている。

 「アバラ折りMS」トールギスをも上回る出力にガンダニュウム合金製の装甲、二門のバスターライフルは一射でコロニーを吹き飛ばし、シールドには格闘戦用のショットラムを備える。攻守共にスキが無いが、何より恐ろしいのはコクピットに搭載された「ゼロシステム」と呼ばれる戦闘補助システムである。戦闘中に得られる膨大な未来予測データのすべてをパイロットの頭脳へ直に流し込むことで「未来を見せる」このシステムは、パイロットの戦闘能力を爆発的に増強すると同時にその精神に並ならぬ負担をかけ、時に戦術的未来に留まらぬ文字通りの「未来」の幻覚までを見せる。現にゼクスはゼロに見せられた未来のためにホワイトファングに身を投じ、技術者のエゴからゼロに乗ったOZの技術士官トラントは発狂してしまった。また、主人公である五人のガンダムパイロット達は全員一度はこのゼロに乗っており、その時の強烈な体験が最終的に彼らを一つに合流させる一因になっている。トロワに至ってはゼロのおかげで記憶喪失から回復したことさえあり、まことに計り知れない力を秘めたシステムであると言える。封印されたのももっともである。

 劇中では第24話「ゼロと呼ばれたガンダム」で、キレてしまったカトルと共に初登場。資源衛星を吹き飛ばし、コロニーも吹き飛ばし、その凄まじい戦闘力を存分に発揮して暴れ回るが、カトルが正気に戻った後OZに回収され、紆余曲折を経てゼクスの手に、そして37話「ゼロvsエピオン」でようやく主人公ヒイロの乗機となる。ヒイロの手でゼロシステムを外されたもののGチームの主力として活躍し、最終話、大気圏に突入したリーブラの破片をバスターライフルで焼き尽くした後、その反動で大破した。そのまま打ち捨てられたかと思いきや、続編OVA『エンドレスワルツ』冒頭では完全に補修された上で(死に化粧だろうか?)他三機のガンダムと共に太陽へ向けて投棄されている。



モビルスーツ ウイングガンダムゼロカスタム
 OVA『新機動戦記ガンダムW エンドレス・ワルツ』製作に当たり、TV版の五機のガンダムはすべてカトキハジメ氏の手によりデザインし直された。その中の一つでウィングゼロを描き直したのがこれであり、したがって本当はウィングゼロとまったく同じものである。「ウィングガンダムゼロカスタム」という名前もプラモデル用として考え出されたものであり、正式な名前はTVと同じ「ウィングガンダムゼロ」。ただし、TV版にあったバード形態への変形機能はオミットされ、翼で機体を包む大気圏突入形態に変わっている。あまり目立たないがそれに伴ってシールドも無くなっていたりする。

 本来単なるリデザインに過ぎないこの機体がわざわざ別ユニットとして登場した一因には恐らく、そのデザインが素晴らしく秀逸であるということが挙げられるだろう。四枚の翼をひるがえすそのフォルムは実に流麗であり、またここまで原物に近い「翼」を備えたロボットというのは過去に例がない(生身の翼とかは除く)。「リアルな造形でスーパーなメカを描く」というのはGガンダム以来カトキ氏のメカデザインにおけるメインストリームの一つになっているが、このウィングゼロは『G』のマスターガンダムと並んでその最高傑作の一つと言えよう。

 劇中では第一話冒頭で他三機のガンダムと共にシャトルに積まれ太陽へと投棄されるが、戦争再来を唱えるマリーメイア一党の出現にあい、ガンダム復活の必要を悟ったカトルがどうにかシャトルに追いついて回収、再びヒイロの乗機となる。大気圏上層での五飛との一騎打ちに勝利し地球へ降下、敵本拠上空で激しい対空砲火を浴びつつフルパワーのツインバスターライフルを発射。地下シェルターの積層シールド半分以上を一撃でぶち抜き戦局を決定づけるも、満身創痍の機体がフルパワーの反動に耐えきれず自壊、大爆発。一度ならず二度までもこんな無茶な使い方をされるとは、どうにも哀れな機体である。

 なお、事態が収拾して後は、他四機のガンダムも今度こそ戦争終滅を願って爆破された。その後、この世界の歴史にガンダムの名が現れたことは無いという。



モビルスーツ ガンダムデスサイズ
 オペレーションメテオで地球に降下した5体のガンダムの1体。プロフェッサーGがL2コロニーで開発したガンダニュウム合金製MSで、ハイパージャマーと呼ばれる電子機器かく乱装置により、高いステルス性を誇る。OZではガンダム02と呼ばれていた。その隠密性を活かして敵集団に密かに接近し不意打ちをかけ、その混乱の中で目標を破壊、離脱するという戦術を得意とする。そのメイン武装のビームサイズは水中でもその威力を失わないという恐るべきものであり、その鎌を構え一気に相手に振り下ろす姿は、ビジュアルイメージとして強烈でありデスサイズというモビルスーツを強く印象付けていた。またバスターシールドは盾として以外にも先端にビームサーベルを発生させ、敵に対して発射することも可能な攻防一体の武器である。ビームサイズをかまえた漆黒の機体はまさに死神の名にふさわしい。しかし、胸のツインインテークや、シールドの十字マークなど、実は五機のガンダムの中で、いわゆるガンダムのデザインに一番近いのはこの機体だったりする。

 序盤はウィングガンダムと行動を共にすることが多く、ヒイロによってウイングガンダムごと破壊されそうになったり、ウイングガンダムの修理部品用に解体されてしまったりしたこともあった。いきなり二話で、「死神と呼ばれたG」と、名前を呼ばれるだけあり、序盤での出番は多く、不遇の一号メカ、ウイングガンダム以上に、この世界でのガンダムの強さと言う物を知らしめてくれた機体でもある。ノベンタ元帥の死亡後はしばらく単独行動を取った後、カトルのサンドロックと共に行動を始め、OZのシャトルを強奪し宇宙へ上がる事になるが、もともと地上戦用に調整された機体のためか宇宙では今一つその力を発揮できず、自爆装置すら利かないほどズタボロにされた上、OZによって捕獲されてしまう。そして見せしめのために公開で破壊される。なおその時実際に破壊したのはOZに潜入していたトロワである。その残骸は5博士によってデスサイズヘルへと生まれ変わることとなる。



モビルスーツ ガンダムデスサイズヘル
 OZに協力を強要されていたプロフェッサ−G達、ガンダム開発者の5博士が、OZによって捕獲・大破させられたガンダムデスサイズを、月面基地で秘密裏に改修した機体。デスサイズと共にOZに捕獲されていたデュオに完成度80%の状態で託され、デュオ自身の手により完成する。

 機能上の主な改修点は、宇宙空間での戦闘への対応と戦闘力の強化である。
 前者の改修点は、重力下での運用を前提に設計・開発されたデスサイズに対して、戦局が宇宙へ移行していく過程における強化策である。この点における外観上の目立った変化は見受けられないが(後述のアクティブクロ−クは除く)、作中での本機の機動性と運動性を見る限り、バ−ニアやアポジモ−タ類の強化、ならびに追加装甲の裏等にそれらが追加されていると思われる。

 後者の改修点の内、防御力の向上については、本機の最大の特徴でもある「アクティブクロ−ク」の装備に集約される。この6枚の羽状の追加装甲は、胸部、肩部、後背部を覆う事で耐弾性を向上させるだけでなく、表面に対ビ−ムコ−ティング処理が施されている。これは、リ−オ−に代わって配備されつつあったト−ラス等のビ−ム兵器を標準装備するモビルス−ツへの対応のためと推測される(リ−オ−もビ−ムライフルを装備できるが、大気圏内での標準装備は実弾兵器であった)。その効果については、作中において、ウイングガンダムのバスタ−ライフル以上の破壊力であるヴァイエイトのビ−ムキャノンの直撃にも耐えた程である。このアクティブクロ−クは腕部使用時には展開され、腕の動きを全く妨げないようになっているだけでなく、開閉により宇宙空間でのAMBACシステム(いわゆる手足を振っての姿勢制御)の補助としても使用されていたであろう。攻撃力においても、デスサイズの主武装であったビ−ムサイズの刀身部分を2連としたツインビ−ムサイズによって、元々得意とする白兵戦はさらに強化されている。しかし、同じく白兵戦を主眼に設計・開発されたシェンロンガンダムが、本機と同時にアルトロンガンダムに改修される際にビ−ムキャノンを装備したのに対して、デスサイズにおける中距離用の武装であったマシンキャノンは取り外されている。その最大の理由は、アクティブクロ−ク取り付けに干渉した事であろう。しかし、この戦闘レンジの限定は、推測ではあるが、状況の変化に呼応して各ガンダムとの連携(特にアルトロンガンダムとの)を予測した5博士が、本機に前衛を務めさせる事を想定したのかも知れない。そう考えると、デスサイズヘルにのみ、アクティブクロ−クを装備させた5博士の意図も納得できよう。また、奇襲・隠密行動用のハイパ−ジャマ−の装備数も、デスサイズと比べて倍増し、この点においても、長所を徹底的に伸ばす改修コンセプトが伺える(アルトロンガンダムは、シェンロンガンダムの長所であったウイングガンダムに次ぐ汎用性を発展させたと見る事が出来る)。

 以上の機能的な改修以上に、本機が視聴者に対してアピ−ルする魅力は、黒色を基調とした全身から漂う独特の美しさにあると思われる。オ−プニング映像や、作中での爆炎の中から現れる6枚の翼と2重の巨鎌を構えるシルエットにうっとりとした人も多いであろう。全体の雰囲気は、当然のごとくデスサイズを踏襲するが、各部のエッジの張り出しや先鋭化によって、より凶悪な印象を与える。その高貴な悪魔のごとき峻烈な美しさは、後に発表されるウイングガンダムゼロカスタムの持つ天使の精練な美しさと正対する美と言えよう。しかし、デュオ曰くの「死神」を体現するために、こういったデザインになったわけではなく、アクティブクロ−クに代表される外観の変更も、あくまで前述の機能的な改修の一環としてのものであり、その点において究極の機能美という表現も出来る(無論、作中での設定からの推測であり、デザイナ−の意図とは別である)。ヘルメット状の部分の中世風モ−ルドさえも、ECM(いわゆる電波妨害)の補助のためとされている。

 第32話でのウイングガンダムゼロとの対決、第45話でのメリクリウス&ヴァイエイトとの戦闘や、ツインビ−ムサイズによる一刀両断という魅せる演出等、見せ場も多く、パイロットのデュオの魅力と合わせて、ファンの間でも人気の高い機体である。


主人公 デュオ・マクスウェル
 ガンダムデスサイズ、並びにデスサイズヘルのパイロット。暗く破滅的なガンダムパイロット達の中では、一番明るく健全で普通な性格の持ち主。最も彼にした所で、窮地にたてば自爆したがるような危うさ、全てを背負い込んでしまうような性格は彼も同じである。あるいは普段表に出ない分、思いつめた場面では、他のパイロット以上に深刻に思いつめている印象がある。

 L2コロニー群近くの宇宙の遊牧民的存在、スイーパーグループの出身。前日談的な外伝コミック、『EPISODE ZERO』によれば孤児であったところをある教会に拾われ、その為彼の服装は牧師服のような服なのだそうだ。その後はプロフェッサーGの元で、働いていたようだが、地球を破壊しつくすオペレーションメテオに反対、デスサイズを爆破しようとする。その行動は失敗したものの、同じくオペレーションメテオに反対するプロフェッサーGに進められ、そのままデスサイズを盗み、地球へと降下する。

 活動当初はトールギス開発者の一人、ハワードと接触しサポートを受けるなど、調子よく活動していたが、ヒイロに出会ってからは運が悪くなったのか妙に損な役回りが多く、ヒイロの無茶な行動を見ていつも嘆いていた。宇宙に上がってからも、一番最初にMD搭載型トーラスと交戦してボロボロに負けてしまうは、デスサイズは見せしめに破壊されるは、モビルドールを破壊する為に月面基地に侵入してみれば、デスサイズヘル完成まで待てと科学者に諭され、カモフラージュの為老師Oにぼこぼこにされるは、最終決戦においても戦闘の最中にガンダム開発者をみつけてしまい、リーブラを自爆させる為に戦場を突っ切る羽目になるなどとことん間が悪い。エンドレスワルツではヒイロに脱出する隙を作る為、殴られたりと、とことん不幸な役回りである。やはり危ない人間の中では普通の人間は損をすると言う事か。

 もっともその普通の性格と言う物は彼にとってマイナスだけであるという訳でもない。実際誰とも会話しようともしないヒイロも彼が親しげに(あるいは馴れ馴れしく)会話した事が人と関わるようになっていった始まりであるし、OZこそが正義と単純に信じていたヒルデという名の一人の少女は、自ら捕らえたデュオの言葉によって、自分で考える事を始めている(彼女はデュオと出会った後、潜伏しているデュオのサポートをしたり、ピースミリオンに潜入して情報を持ちかえったりと密かに重要な役を務めていた)。彼の普通さ、人当たりの良さという物は(極端な人間が多いガンダムWでは)彼の大きな強みであると同時に、彼の大きな美点であった。

 エンドレスワルツの最後の場面では、ヒルデとまたジャンク屋稼業に戻ったようである。他のガンダムパイロットと違い、戦争が終わった世界でも上手くやっていけそうである。
「死ぬぜぇ、俺を見た奴は、みんな死んじまうぞぉ」


主人公 ヒイロ・ユイ
 AC195年に遂行された、作戦名「オペレーション・メテオ」のエージェント。ウィングガンダムにのってL1コロニー群から地球に向かった。道中大気圏突入時において後の宿敵ゼクス・マーキスと初の戦いを演じる。この際の高笑いでなんか危ないのではという印象を受けた人も多いが、ある意味当たっているのかもしれない。

 その後地球につくなり一般人(リリーナ)に顔を見られ、救急車を奪って逃亡し、あまつさえ学校で、顔を見られた当人に興味をもたれてしまい、さらに彼女に後々までストーカーのようにつけ回されてしまう(一人でいるのが好きな彼にとって、これは苦痛だったろう)。挙げ句の果てにデュオに恩を売られてしまったのは彼としては痛いところだろう。

 彼は幼い頃からドクターJにエージェントとしての教育を受けていたため、戦士としての腕に関しては超一流である。だが代わりに感情を失ってしまった。これでも昔は泣いたり笑ったり驚いたりしていたのだ。子供のヒイロに課せられた試練は、とても重いものだったのかも知れない。しかしそのせいか任務に対する情熱(というか執着心)はとても強く、脱走のためにビルの50階から飛び降りたり(しかも骨折を自分で治す)、ためらいなくウィングガンダムを自爆させたり(しかも生きている)と、その活躍ぶりたるや他の四人の追随を許さぬ見事さである。そして、大気圏突入の頃からの腐れ縁ゼクス・マーキスと幾多の戦いを繰り広げ、南極で決着をつけようとしたが途中にOZが割り込み勝負は中断、決着は宇宙まで持ち越される。結局はリーブラの戦いで、ヒイロが勝利を収める。

 最初のうちはウィングガンダムにのっていたが、宇宙に行きオズに潜入してからはメリクリウスに搭乗。さらにカトルとの対決が終わったあと地球に潜伏。そしてトレーズからガンダムエピオンを託されるが、後にゼクスとウィングガンダムゼロとトレードする。トレース曰く、「これを使って勝者になってはいけない」ガンダムであるエピオンを何も言わずにゼクスにくれてやったのは人が悪いと言わざるを得ない。この時期は少々危険だったが、見事乗り越えてまた戦士として人間として成長することになる。

 当初は無口と無愛想と自分の命を一切顧みない事にかけてはガンダムパイロット中ナンバー1だったが、リリーナを守るという想い故に本来の優しさや人間らしさを見せるようになり強くなっていった。とくに自爆後にトロワに命を救われてからは与えられた任務よりも自分の感情を優先するかのような言動も目立ち、それは他のガンダムパイロット達にも影響を及ぼした。また、意図的にギャグをかまして無口でクールなトロワを爆笑させたりもしていた。

 案外生身で人を傷つける事はなかった。銃の腕は確かなのだが、人に銃口を向ける回数が多い割に(特にリリーナが多い)撃つ事はまずなかった。

 ちなみに彼の「ヒイロ・ユイ」という名前は本名ではなく、昔のコロニー指導者「ヒイロ・ユイ」からとったコードネームである。したがって彼の本名は現在のところ不明である。

 ところでこのヒイロというキャラクターの造型の面白味は、どこに存するのだろうか。ある意味、『Gガンダム』で一定の成功を収めた開き直り路線第2弾である『ガンダムW』の再度の成功の秘密とそれは重なっているように見える。

 『Gガンダム』と『ガンダムW』の共通点はバカな登場人物ばかりが登場するバカ話、という点にあるが、そこにおける「バカ」とは「何かが足りない」「欠如」によるバカではなく、「何かがあり過ぎる」「過剰」によるバカである。そこにおける登場人物たちははっきり言ってバカばかりだが、無能で非力なのではなく、有能で力があり過ぎて空回り、いやそれどころか自分のよって立つ基盤を破壊してもなお動きを止めない。そしてヒイロという主人公はまさにこのような意味での「バカ」の真骨頂であり、彼とタメを張れるのは、同じく『ガンダムW』のトレーズ様、戦死者すべての名前を覚えているとうそぶくクソバカちゃんくらいのものである。かなりのバカであるはずのリリーナでさえ彼らの前では色あせる。彼らは単に直情径行なのではない。それでは考えが足りないバカである。彼らは考える! 余計なことを考えすぎ、考えすぎる割には立ち止まることもなく疾走する! その結果ストーリーは絶え間なく壊れ続ける、いや壊れることによってしか先に進まない。

 ヒイロのどこがバカか。まず彼の任務遂行率の恐るべき低さを見よ。まず初っぱな、地球上陸作戦自体がどうしようもない大失敗である。そして目撃者リリーナを延々殺せない。それどころか、デュオだのドクターJだのが敵に捕らわれたとき、彼はその口封じのためにわざわざ敵の基地に潜入して彼らを殺そうとして、その結果、必ず助け出している。そしてもちろん、OZにはめられて連邦穏健派を一掃してしまった事件。ここでドジを踏んだのはデュオ、カトル、トロワも同様だが、直接高官たちをやっちまったのはヒイロである。

 しかしこれだけではただの足りないバカである。彼の真骨頂が発揮されるのは任務を超え、更にダメ押しでガンダムからも降りて生身となったときにこそ発揮される。『G』世界のガンダムファイターでもないくせに、彼は生身の時の方が強くて有能である。高層ビル飛び降り事件しかり、ウィング自爆後も生きてた事件しかり、味方捕虜を「殺すはずが助けちゃう」もしかりだが、何と言っても圧巻はOZのミサイル基地自爆をサリイの依頼で止めた時である。このときガンダムは何の役にも立っていない。これは終幕のリーブラ狙撃と並ぶ彼の二大偉業であるが、傑作なのはこともあろうにこの偉業のあと、彼は「俺のミスだ!」と絶叫して自分を責めるのである!(確かに元はと言えばそうなのだが…)

 ストーリー自体が破滅的に破綻していたとはいえ、『ガンダムW』はこのヒイロに代表されるキャラクターのポジティヴなバカさ加減によって愛すべき作品となっていた。
「お前を…殺す!」

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